帆走理論


ヨットが風上に向かうときの推進力は、セールに働く揚力とセンターボードに発生する反作用の合成により得られる。
飛行機の場合はエンジンの力で進むことにより翼に相対的に空気の流れを作り揚力を発生させる。空港で飛行機を見ていると、風上に向かって離陸していく。こ れは風下に向かって離陸しようとした場合、もし(絶対にありえないと思うが)飛行機のスピードと同じ速さで風が吹いていた場合、相対的に空気の流れが全く 生じないことになり揚力は発生しない。そうすると飛行機は飛べないのである。
セールはふくらみ(アール)を持っている。それによりセールには圧力差が生じるため、飛行機の翼のように、セールに直角な方向に揚力が働く。その力のトー タルが下図のセールに発生する揚力になる。このままではまっすぐ進めないので、艇はセンターボードの反作用によって風下に流されないようにしながら前に進 むのである。(実際にはまっすぐは進めず少し風下に流されながら走る。艇の向いている方向と実際に進んでいる方向の成す角度をリーウェイ角という。)
風を後方から受けて走る場合も、揚力とはいいがたいが、これもまた圧力差で走るのである。
帆船の場合はセンターボードのようなものを持たないため、ヨットのように効率的に風上に向かうことはできない。一般にアビームまでといわれている。

またヨットの進むスピードは、アビームが一番速い。そのスピードの分布は、だいたい下図の曲線のようになる。長さがそのスピードを表す。艇を走らせる際は、そのV.M.G. (Verosity Made Good)に注意しなければならない。